東京医療センターの重大医療事故(4)からつづく
■■■東京医療センター産婦人科 主治医■■■
主治医に話を戻す。
≪≪≪腹水抜き初日≫≫≫
2015年5月7日、8日の腹水抜きは主治医の指揮、指導のもとで研修医が実施。研修医は『精神疾患を発症して、抑うつ状態で注意力が減退』した状態であった。
(2017年8月10日東京新聞記事より)
【2015年5月6日 18:29 主治医カルテ】
「入院後腹水穿刺予定
1000ml程度目標で
点滴はなしの予定」
【2015年5月7日 11:15 主治医カルテ】
「右季肋部3cm下より腹水穿刺実施 辻/笹栗/三辻
キシロカイン局麻下に16Gロングサーフロにて穿刺
腹水淡黄色」
「1000mL目標にドレナージを
バイタル問題なければ点滴なしで飲水励行を
1000mLで終了したらセルプロックに提出予定」
【2015年5月7日 11:35 研修医カルテ】
「経腹エコーガイド下に左側腹部より腹水穿刺施行」
【2015年5月7日 13:13 研修医カルテ】
「腹水1000ml抜去」
「カテ抜去し腹水はセルブロックヘ提出。」
【2015年5月7日 17:40 看護師カルテ】
「右側腹部に16Gロングサーフロー穿刺し、
1時間かけて1200ml(1000ml?)黄褐色の腹水排液あり。」
【2015年5月7日 20:50 主治医カルテ】
「特に問題なく腹水穿刺終了
明日も1000mLドレナージしたい」
【2015年5月7日 母の日記】
予定通り入院へ出発。着いてすぐ水抜きにかかる。千cc。
夜に主治医先生30分くらい(病室に)現れる。
【2015年5月7日 21:47 主治医カルテ】
「穿刺部軽度腫脹あるが明らかな血腫はなし
皮下に滲出+か」
「腹満わずかだが軽減あるも依然腹満強い
明日も再度ドレナージ」
【2015年5月8日 9:00 主治医カルテ】
「昨日の穿刺部より2cm下方より腹水穿刺実施
主治医/研修医」
「腹水性状淡黄色で変わらず」
「1000mL目標にドレナージを
抜針後はしっかりとガ一ゼで圧迫固定を」
[2015-05-08 主治医カルテ]
2015年4月22日の超音波エコー装置での診察で、腹水量が少ない(1700mL)と確認していたのに、初日の5月7日に1000mL抜いたにもかかわらず、翌日5月8日もさらに漫然と1000mL目標にドレナージしたいと、主治医はカルテに書いている。
超音波エコー装置で残りの腹水量を確認もしないで、いい加減なドレナージ目標を立てている。主治医の怠慢による無謀で杜撰な目標設定が、結果的に研修医によって、内臓を損傷することになったことを考えると、主治医の責任は極めて重大で、決して見逃すことができない厳然たる事実である。
■■■東京医療センター産婦人科 研修医■■■
鳥取大学医学部卒。
福岡の医療法人の病院で初期研修。
東京医療センターにて後期研修中。
ここで一旦、研修医に話を移す。
2015年5月7日朝、個室の病室で待機しているところへ、研修医が、ノックもしないで超音波エコー装置を手押ししながら無言で入ってきて、母のベッドを挟んで私の向かいに立つなり、
『今からここで処置をするんですよ。終わったら呼びますか
ら。』
と、興奮した口調で怒ったように言うので、慌てて退室した。正常な精神状態での言動、態度とは言えない状況であった。
礼節をわきまえず、挨拶もまともにできない社会性に欠けた人物であると、不快感を抱いたが、2017年8月の労災認定の報道で精神疾患を発症して抑うつ状態にあったと知り納得した。
【2015年5月7日 11:35 研修医カルテ】
「経腹エコーガイド下に左側腹部より腹水穿刺施行」
【2015年5月7日 13:13 研修医カルテ】
「腹水1000ml抜去」
「カテ抜去し腹水はセルブロックヘ提出。」
【2015年5月8日 9:24 研修医カルテ】
「TAUS下に18Gにて腹水穿刺施行 流出良好」
「1000ml抜去目標」
【2015年5月8日 10:16 研修医カルテ】
「腹水700mlで流出止まつた。
(穿刺針の)向きや深さを変えたり、シリンジ(注射器の筒)
で陰圧かけるも引けず。」
「腹水穿刺終了とした。」
[2015-05-08 研修医カルテ]
【2015年5月8日 16:37 看護師カルテ】
「9:00 腹腔穿刺実施。
バイタルサイン:オーバービュー参照
18Gロングサーフローにて右腹部穿刺
淡黄色腹水流出あり気分不良訴えなし」
「9:30 BP90/54まで低下あるが、
頭部軽度ギャッジアップしたほうが楽とのことで様子みる。」
「9:45 腹水流出ストップしたためDr報告(排液700ml)
BP 99/55 気分不良なし 呼吸苦なし」
「10:15 Dr研修医にて刺入部角度変更し、
シリンジで陰圧かけるが腹水流出なし。
抜針しガーゼ保護、エラテックスにて圧迫固定する。
7日の穿刺部軽度発赤・腫脹あり。」
「血圧低下なく経過。2日でtotal 1700ml腹水排液している
ため飲水励行し、血圧変動注意していく。」
[2015-05-08 看護師カルテ]
研修医はカルテに腹水700mlで流出止まったと書いている。
腹水穿刺では腹壁と腸管との距離が十分に空いている、安全な穿刺位置を探して、穿刺針を腹腔内の腹水溜まりに刺し込み、穿刺針が抜け落ちないようにテープで腹部に固定する。
腹水量が少ない時は、超音波エコー装置で腹水の残量を随時チェックしていないと、腹水が抜け切ってしまい、腹水の流出が止まる。
腹水が抜け切ってしまうと、メインの腹水溜まりのあった腹腔内にスペースがなくなるので、腹部にテープで固定されている穿刺針は、必然的に内臓に突き刺さることになる。
700mlで流出が止まった時点で、既に穿刺針は内臓に突き刺さって内臓を損傷している。
東京医療センター産婦人科での腹水穿刺では、超音波エコー装置で腹水量を随時チェックしていないので、流出が止まるまで腹水が抜け切ったことに気が付かないという、まったくの『成り行き任せ』のズボラなやり方である。最新設備を備えた大病院で、これほどいい加減な腹水穿刺をしているとは信じがたいことである。
しかも9:45に看護師から流出がストップしたと連絡を受けていながら、研修医が病室に戻ってきたのは10:15である。つまり、30分間も穿刺針が内臓に突き刺さった状態で放置されていたことになる。
9:45に流出が止まった時、研修医はその場にいなかったことになる。腹水の残量を超音波エコー装置で随時チェックしていなければならないのに、無責任にも職務を怠っていた。もっとも超音波エコー装置は穿刺後に診察室に持ち帰っていて、病室にはなかったと思われる。
なんともいい加減な腹水穿刺で、穿刺中に超音波エコー装置も使わないで、なんとなく腹水穿刺して、そのまま放置するという緊張感に欠けたズボラな治療のしかたである。
研修医は、700mlで腹水の流出が止まった後、
『(穿刺針の)向きや深さを変えたり、シリンジ(注射器の筒)
で陰圧かけるも引けず。』
と書いている。これは腹水流出が止まった時点で、すでに内臓に突き刺さっている穿刺針で内臓を突き刺しまくった、つまり内臓に穴を開けまくったということである。なんという恐ろしいことをしてくれたんだ。こんなことされたら、あとは苦しみながら死んでいくだけではないか。実際そうなってしまったが。
腹水の流出が止まった時点で、メインの腹水溜まりの腹水は全部抜け切って穿刺針が内臓に突き刺さっており、これだけでも体調維持するうえで極めて重大な事態であるのに、さらに内臓に繰り返し穴をあけて内臓を損傷させている。
しかもシリンジ(注射器の筒)で陰圧かけたということは、内臓器内から内容物を吸引しようとしたということで、常識的にありえないような愚行であり、とてつもないダメージを体に与えたことになる。信じがたい愚かな行為である。
これは明らかに研修医が犯した重大な医療事故であり、腹水穿刺を指揮、指導した主治医による無謀で杜撰な穿刺目標が誘因したものであることを考えると、研修医以上に主治医の医療事故に対する責任は大きい。
腹水の残量が少ないと予想されたので、腹水穿刺中は超音波エコー装置で随時、腹水量をチェックするように主治医は研修医を指導しなければならないのに、必要な注意、指導を怠っていたと考えられる。
≪≪≪腹水抜きの問題点≫≫≫
要町病院腹水治療センター長の松崎圭祐医師は記事のなかで、腹水が2L未満の少ない状態での腹水穿刺は危険で、腹部膨満感の緩和効果も乏しく、かえってその後腹水抜きを繰り返すことになって、死期を早めることになると述べている。
精神疾患に伴う抑うつ状態にあって、注意力が減退していた研修医に、施行を任せきりにしたため、700mlで自然流出が止まるまで放置して、内臓を損傷したのみならず、主治医から与えられた1000mlの目標めざして、さらに(穿刺針の)向きや深さを変えたり、シリンジ(注射器の筒)で陰圧かけて、遮二無二腹水を引き抜こうしたことで内臓の傷口を広げてしまった。
研修医の常軌を逸した無謀な医療処置で、主治医の4月22日の危惧が不幸にも的中して、腹水穿刺針に近い『肝臓・小腸に損傷を与えてしまった』。
研修医のやったことは、『ガキのいたずらレベル』で、とてもまともな医療処置とはいえない。精神疾患を患っていたとはいえ、あまりにお粗末である。
精神疾患を患っている研修医をリスクを伴う医療処置に従事させたということは、東京医療センターの管理体制に重大な欠陥があることを示している。
そもそも腹水を抜かなければならない緊急性、切迫さもない状況下で、主治医が1700mlと僅かしかない腹水を抜こうしたことが、取り返しのつかない事態を招く結果となった。
1700ml程度の腹水量にもかかわらず、腹水穿刺という立ち入るべきでない領域に、敢えて踏み込んだ主治医の判断は完全に間違っており、生じた結果に対しては全面的に責任を負わなければならない。
主治医が必要のない腹水穿刺を決断し、不適切な穿刺目標を設定しなければ、研修医が自殺することはなかったし、母も死ぬことはなかった。
腹水抜き全体を監督し、研修医を指揮、指導する立場にあった主治医の責任は極めて重大である。
主治医の背後には影の主役、黒幕の元看護師長がいて、腹水穿刺に誘導したが、当事者以外にはその存在すら分からない。実に巧妙に姿を隠している。
≪≪≪研修医、過労自殺≫≫≫
2015年6月22日に母が亡くなった20日後の7月12日に、研修医が過労自殺していたという事実を、2年後の2017年8月10日の報道で初めて知った。
【2017年8月10日 東京新聞朝刊】
「独立行政法人国立病院機構が運営する東京都内の病院に勤務していた三十代半ばだった産婦人科の男性研修医が二年前に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因だとして、品川労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが分かった。遺族の弁護士が九日、記者会見して明らかにした。認定は七月三十一日付。」
「弁護士によると、男性は二〇一〇年四月に医師免許を取得し、一三年四月から、この病院の産婦人科に勤務。一五年四月以降、抑うつ状態や睡眠不足、注意力の減退などの症状が見られるようになり、精神疾患を発症。同年七月十二日に都内で自殺した。」
「遺族側代理人の弁護士は会見で「病院は男性が長時間労働に従事していたことを認識していたにもかかわらず、十分なサポート体制を取っていなかった」と批判。背景に深刻な産婦人科医不足があるとも指摘した。病院側は「会見内容を把握しておらず、答えられない」としている。」
[2017-08-10 東京新聞朝刊]
【2017年8月9日 BuzzFeedNEWS】
「病院の寮の自室はものが散乱した状況だった。冷蔵庫には
何も入っていなかった。公共料金の支払いも滞っていた。『亡くなる直前の5月、6月には道交法違反(信号無視)』を起
こしているという。」
5月8日に研修医がメインの腹水溜まりの腹水を全量を抜いて、内臓を損傷させたことで、指導した主治医から厳しく叱責されたことであろう。6月22日には母の死亡を主治医から知らされひどく落ち込んだであろう。研修医の道交法違反(信号無視)の時期と見事に符号している。
主治医は、内臓損傷の責任をすべて研修医に押し付け、厳しく叱責しているが、そもそも主治医が無謀で杜撰な腹水穿刺の実施を決めたことが内臓損傷のおおもとの原因である。
研修医が自殺したことで、内臓損傷の事実、責任を研修医とともに葬り去り、主治医は何事もなかったかのように過ごしている。ずるいヤツというのはいつもこのようにうまく立ち回るものだ。
研修医は主治医によって、スケープゴートにされたといえよう。
■■■東京医療センター産婦人科 主治医■■■
主治医に話を戻す。
≪≪≪メインの腹水溜まりの腹水が全量流出≫≫≫
【2015年5月8日 母の日記】
二日目午前中早くから(腹)水抜きにかかるが700ccで出な
くなる。
筒井、山本裕子様、見舞いに来て下さる。
『一番入ってほしくない路線に入ってしまった』由。
『22時から45分ぐらい主治医先生来室。』
呼吸器科医師先生も午前中早くから来室して下
さる。
[2015-05-08 母の日記]
5月8日夜10時に主治医が病室にやってきて、
『一番入ってほしくない路線に入ってしまった。』
(2015年5月8日 母の日記より)
『全部とるのはまずいと言っていたのに、結局全部抜くこと
になってしまった。』
(2015年5月13日 訪問医診療レポートより)
という趣旨の話をしている。
主治医は、『一番入ってほしくない路線に入ってしまった』と言っておきながら、具体的にどういう路線に入ってしまったのかを説明していない。主治医としての説明責任をまったく果たしていない。
『一番入ってほしくない路線』とは、『内臓損傷という一番どころか絶対に入ってはいけない路線』に入ってしまったということである。そのうえ、全部抜くのはまずいと言っておきながら、結局メインの腹水溜まりの腹水が全量抜け出てしまった。
こうした重大事態に陥ったにもかかわらず、主治医は必要な処置を施そうとしないどころか、母のおかれた状況について、母や家族にまともに説明をすることもなければ、今後の見通しについても誠実に説明していない。
もっともかかる事態に至っては、もはや手の施しようがなく、ただ傍観して流れに任せるほかないと考えたか。
深刻な状況に陥ったことの説明もなければ、なんの救急処置も施さないというのは、まことにもって無責任かつ不誠実きわまりない対応で、医師としての説明責任を放棄して、告知義務も果たしておらず、医師の倫理規範に著しく反した許しがたい行為である。
≪≪≪腹水抜き後の体調≫≫≫
【2015年5月9日 10:29 看護師カルテ】
「独歩にて軽快退院される。」
【2015年5月9日 母の日記】
九時三七分帰宅。すぐ二時間も眠る。
丁度元看護師長家へ現れた(中野)なおクリニックの(院長)
先生と出会う。
水抜きをした後から、ずっと膨らんで来るお腹・・・。
[2015-05-09 母の日記]
【2015年5月9日 母の病気メモ】
帰宅、前よりもっと膨らんで来るお腹、
むくみが去らない。
[2015-05-09 母の病気メモ]
2015年5月9日、腹水を抜いた翌日には、こんどは別のところが痛くなってきて、お腹が前より膨らんできたと母が言いだした。これ以降、腹部は徐々に膨らんでいった。
腹水穿刺で内臓損傷したことで、腹水穿刺する前以上にお腹が膨らんできた。腹水を抜けば、一時的なりともお腹が楽になるはずなのに、腹水を抜いた翌日には以前にも増して膨らんできたということは、間違いなく内臓を損傷したことが原因である。
体重もうなぎ登りとなった。
【2015年5月10日 母のメール】
先生曰く、『入りたくない路線に入って来てしまった。』
ということで、これからどんどんいたちごっこになる予定
と決定。
知っていたけどね、お腹はへっこむどころか反って膨らん
でくる・・・感じ。さりとて取らなきゃ苦しいし・・・
と。
[2015-05-10 母のメール]
【2015年5月11日 母の病気メモ】
二段に分れた様な感じのお腹
東京医療センターの重大医療事故(6)につづく